所有者不明土地を購入・取得する方法|管理人を通じた売買の流れ
所有者が不明な土地を購入したい不動産事業者・開発事業者向け。所有者不明土地管理人を選任し、裁判所の許可を得て売買を成立させる手続の流れ、費用、期間を解説。
所有者不明土地管理人選任申立てにおける「利害関係人」の範囲。隣接地所有者、公共事業の実施者、購入計画に具体性のある民間購入希望者がどう扱われるか。大阪地裁Q&Aを踏まえて実務上の判断基準を整理。
所有者不明の土地を買いたい——民間の購入希望者が、自ら所有者不明土地管理人の選任申立てを行うことはできるのでしょうか。実務上は、「購入計画に具体性があり、対象となる土地の利用に利害が認められる」場合は利害関係人に該当しうると整理されています。ただし、単に購入意欲があるというだけでは足りず、申立てに先立って具体性の疎明を組み立てる必要があります。
民法264条の2第1項は、所有者不明土地管理命令の申立権者を「利害関係人」と定めています。条文上の文言は短く、その範囲は事案ごとに裁判所が判断する仕組みです。
大阪地方裁判所が公表している運用Q&A(令和6年10月改訂版。大阪地裁・所有者不明土地管理事件関連の公表資料一覧から最新版を辿れます)では、利害関係人の典型例として以下が挙げられています。
つまり、購入希望者は無条件に申立権者になるわけではありません。「購入計画の具体性」と「土地建物の利用に係る利害」という二つのハードルを越えることが要求されます。
裁判所が個別判断する以上、明確な基準はありません。ただし、運用を見る限り、次のような材料が積み上がっていれば認められやすいといえます。
これらが揃えば、単なる「買いたい」ではなく、「事業のため不可欠で、かつ実行可能性のある購入計画」として疎明できます。逆に、これらが薄いと「単なる関心」と評価されて利害関係人性が否定される可能性があります。
実務上、最も認められやすいのは隣接地所有者としての申立てです。隣地が管理されないことによる不利益(雑草・倒木・越境・防犯等)の存在を主張すれば、利害関係は比較的容易に説明できます。土地を購入したい場合でも、購入希望者が隣地所有者を兼ねていれば、申立て自体は隣接地所有者として行い、購入は管理人選任後に管理人と協議する流れが取りやすくなります。
公共事業の実施者(自治体・都市再生機構・都道府県等)も認められやすい立場です。日野市が空き家対策で本制度を活用した事例はその典型です。
民間購入希望者単独の申立てが認められた公表事例はまだ多くなく、運用蓄積を待つ部分があります。事案によっては、隣地所有者と組む、公共事業者と協調するといった工夫を視野に入れる価値があります。
なお、マンションなどの区分所有建物については、所有者不明建物管理制度が適用されないため、所有者不明建物管理命令の申立てをすることはできません(大阪地裁Q&A)。区分所有建物に関しては、不在者財産管理人や区分所有法上の手続を別途検討する必要があります。
民間の購入希望者が所有者不明土地管理人選任を申し立てるには、「購入計画の具体性」と「土地利用に係る利害」の疎明が必要です。資料が揃えば認められうる立場ですが、運用が蓄積途上の領域でもあります。隣地所有者としての立場を併せ持っているか、公共事業や周辺地権者と協調できるかといった視点で、申立人構成を最初に設計することが結果的に認容率を高めます。
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