事業者向け ・ 用地取得 / 再開発

用地取得で残る
所有者不明区画の整理

再開発、区画整理、宅地造成、事業用地取得で、最後に残った一画の所有者や相続関係が追えない。そうした案件では、所有者不明土地管理人選任申立を事業工程に組み込めるかを早めに検討します。

大規模用地取得・再開発で所有者不明土地がある案件
Photo by Tsuyoshi Kozu / Unsplash
対象
開発事業者・不動産会社
典型場面
再開発・用地買収
主な手続
管理人選任・処分許可
期間目安
半年から1年程度

「最後の一画」が工程に影響する

大規模な用地取得では、全ての土地がきれいに同じ状態で並んでいることはあまりありません。登記名義人が何十年も前に死亡している土地、相続人が多数に分かれている土地、共有者の一部だけ所在が追えない土地、住民票・戸籍を辿っても現在地が分からない土地が混ざります。

問題は、その一画だけの価値ではありません。取得できない区画が残ることで、道路付け、排水、造成、許認可、建替え決議、金融機関との条件、売主・買主との契約工程に影響が出ることがあります。所有者不明土地の処理は、単なる法律相談ではなく、事業工程の一部として設計する必要があります。

想定している案件

公表事例と実務上の根拠

所有者不明土地管理人の制度は、近隣関係だけを想定した制度ではありません。大阪地方裁判所の公表Q&Aでも、土地を取得してより適切な管理をしようとする公共事業の実施者や、購入計画に具体性があり土地建物の利用に利害が認められる民間の購入希望者は、利害関係人に当たり得る例として挙げられています。

日野市では、所有者不明土地・建物管理命令の申立て後、管理人である弁護士が選任され、裁判所の手続を経て第三者への売却まで完了した事例が公表されています。自治体の空き家対策の事例であり、民間の再開発案件そのものではありませんが、管理人選任、売却、管理命令取消しまで進んだ例として、用地取得の工程を考えるうえで参考になります。

申立てに向けて整理する資料

裁判所に所有者不明土地管理人の選任を求めるには、対象土地の特定、所有者を知ることができないこと、または所在を知ることができないこと、管理人による管理の必要性、申立人の利害関係を資料で示します。事業者案件では、単に「買いたい」という説明では足りず、対象地が事業計画の中でどの位置にあり、なぜ取得・処理が必要なのかを具体的に示すことが重要です。

実務上は、対象地一覧、区域図、公図、登記事項証明書、地積測量図、戸籍・住民票の調査経緯、郵便送付の記録、現地写真、取得済み区画の状況、事業計画書、許認可の見通し、資金計画などを見ながら、裁判所に出す資料と社内管理用の資料を分けて整えます。

売買までの流れ

所有者不明土地管理人が選任されても、その時点で直ちに売買が成立するわけではありません。管理人は裁判所が選任する第三者であり、所有者側の利益も考慮して行動します。売買価格、処分の必要性、所有者が後に現れた場合の説明可能性を踏まえ、必要に応じて裁判所の処分許可を得て進めます。

事業者側では、管理人選任の申立て、管理人との協議、価格資料の準備、処分許可、売買契約、登記、管理命令取消しまでを、用地取得や許認可の工程表に入れておく必要があります。半年から1年程度の幅を見て、後工程から逆算して着手時期を決めるのが現実的です。

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よくある質問

事業者が所有者不明土地管理人の申立てをできますか
具体的な事業計画があり、対象地を取得・利用する必要性を資料で示せる場合には、利害関係人として申立てを検討できます。単なる購入希望だけでは足りないことがあるため、区域図、事業計画、取得済み区画、交渉経緯を整理しておく必要があります。
用地買収のどの段階で相談すべきですか
登記名義人の死亡、相続人多数、共有者の一部不明、郵便不達などが判明した段階が目安です。管理命令の発令、管理人との協議、裁判所の処分許可まで時間がかかるため、売買契約や許認可の直前に始めると工程が厳しくなります。
管理人が選任されれば必ず買えますか
管理人は裁判所が選任する第三者で、所有者側の利益も考慮します。価格、売却の必要性、事業計画との関係、処分許可の見通しを踏まえて協議するため、申立人の希望どおりに進むとは限りません。

用地取得・再開発案件のご相談

対象地一覧、区域図、登記情報、取得済み区画、問題になっている区画の資料があれば、事業工程に入れられる手続を整理します。