所有者不明土地管理人の
よくある質問

所有者が分からない土地を買いたい。境界確認の相手が見つからない。申立てにどの程度の費用と時間がかかるのか。相談の際によく問題になる点を、実際の手続に沿って回答します。

「所有者が分からない」の中身で、手続は変わります

登記名義人の住所が古いだけなのか、名義人が死亡して相続登記がされていないのか、共有者の一人だけ所在が分からないのか。同じように見えても、調査する人と使える制度は変わります。郵便が一度戻ってきたというだけで、直ちに所有者不明土地管理人を申し立てられるわけでもありません。

そのため、以下の回答は一般的な目安です。実際には、登記事項証明書、公図、戸籍や住民票の調査経過、土地を取得・管理する必要性を合わせて確認します。

所有者不明土地管理人とは何ですか。

所有者を知ることができない、または所有者の所在を知ることができない土地について、地方裁判所が選任する管理人です。管理人が選任されると、その土地の管理や、裁判所の許可を得た処分を進めることができます。境界確定、売買、開発区域内の用地整理などで、交渉相手がいないために止まっていた案件を動かすための制度です。

誰が申立てをできますか。

申立てができるのは利害関係人です。隣地所有者、共有者、公共事業の実施者、具体的な購入計画を持つ事業者などが候補になります。ただし、単に土地を買いたいというだけで常に認められるわけではありません。対象土地との関係、利用計画の具体性、所有者不明によって生じている支障を資料で説明する必要があります。

隣地の所有者が分からず境界確定ができない場合にも使えますか。

典型的な利用場面の一つです。隣地の所有者が不明で立会いを求められない場合、所有者不明土地管理人を選任し、管理人を相手方として境界確認や確定測量を進めることが考えられます。実務上は、管理人の権限の範囲や裁判所の許可の要否を確認しながら進めます。

所有者不明の土地を購入できますか。

管理人が選任され、裁判所の許可を得れば、管理人を売主側の手続主体として土地を売却できる場合があります。買主側から見ると、所有者本人と直接交渉できない土地についても、裁判所の関与のもとで取引を組める可能性があります。もっとも、購入希望者が申立権者になるか、売買価格や利用計画に合理性があるかは事案ごとの検討になります。

不在者財産管理人とは何が違いますか。

不在者財産管理人は、不在者の財産全体を家庭裁判所のもとで管理する制度です。これに対し、所有者不明土地管理人は特定の土地を対象に地方裁判所が管理人を選任する制度です。特定の土地だけを境界確定したい、売却したい、管理したいという場面では、所有者不明土地管理人の方が制度目的に合うことが多くあります。

費用はどの程度かかりますか。

申立手数料、予納郵券、予納金、管理命令の登記に関する登録免許税、弁護士費用などがかかります。東京地方裁判所の案内では、申立手数料は対象となる土地・建物または共有持分ごとに1,000円、郵便切手は6,000円です。予納金は、管理人に予定される業務と管理期間を踏まえて裁判官が決めるため、一律の金額ではありません。

どのくらいの期間がかかりますか。

所有者調査にどの程度時間を要するか、疎明資料がどこまで揃っているか、裁判所の審理状況、管理人選任後に処分許可が必要かによって変わります。単に申立書を出せばすぐ終わる手続ではなく、事前調査と資料化が全体のスケジュールを左右します。

相談前に何を準備すればよいですか。

対象土地の地番、登記事項証明書、固定資産評価証明書、公図、地積測量図、現況写真、これまでに取得した戸籍・住民票・附票、測量士や不動産業者とのやり取りがあると、初回の検討が早くなります。すべて揃っていなくても構いませんが、対象土地と相談者との関係が分かる資料は重要です。

所有者不明土地の案件では、登記上の名義人が分からない場合だけでなく、名義人は分かるが相続人の所在が追えない場合、共有者の一部だけ連絡が取れない場合、建物や動産が絡む場合など、制度選択が分かれる場面があります。最初に制度名を決め打ちするよりも、対象不動産、目的、相手方不在によって生じている支障を整理する方が、手続の見通しを立てやすくなります。

詳しい手続を確認する

申立要件や所有者調査、予納金、管理人選任後の権限は、所有者不明土地管理人選任申立の解説にまとめています。土地の購入を考えている場合は、所有者不明土地を買いたい場合の手続、事業用地の一部に問題区画が残っている場合は、用地取得・再開発での対応をご覧ください。

資料をもとに検討する

対象土地の地番、登記情報、これまでの調査経過が分かると、制度利用の可否とおおよその段取りを検討しやすくなります。