所有者不明土地管理人選任申立
止まっていた土地を、
動かす。
所有者が分からない土地があるせいで、境界確定ができない。取得したいのに交渉相手がいない。開発予定地の一角が動かせない。所有者不明土地管理人の制度を使えば、こうした案件を前に進めることができます。
制度の概要
所有者不明土地管理人とは
令和3年の民法改正(令和5年4月施行)により創設された制度です。所有者が分からない土地について、利害関係人の申立てにより裁判所が管理人を選任し、その管理人が土地の管理・処分を行います(民法264条の2)。管理人を「相手方」として交渉や取引ができるようになるため、所有者不明が原因で止まっていた案件を動かすことが可能になりました。
従来の不在者財産管理人(民法25条)が不在者の財産「全般」を対象とするのに対し、所有者不明土地管理人は特定の土地に限定して管理人を選任できる点で、効率的かつ実務的な制度です。施行後の利用も着実に増えており、令和5年4月から12月までの9か月間で全国387件の申立てが確認されています。
制度の詳細・手続きの流れ →対応事例 01
隣地の所有者が不明で境界確定ができず、売却が止まっていた不動産
相談時の状況
相続で取得した不動産を売却する必要があったが、隣地の登記名義人は既に死亡しており、相続人の所在も追えない。測量士が境界確定を進めようにも、隣地側に立ち会える相手がおらず、不動産仲介業者との契約も進まない状況だった。
行ったこと
隣地の所有者を調査(住民票・戸籍の取得、現地調査)し、所有者を特定できないことを疎明する報告書を作成。隣地について所有者不明土地管理人の選任を地方裁判所に申し立てた。管理人(弁護士)が選任された後、裁判所から権限外行為の許可を得て、境界確認の立ち会いと通行掘削承諾を取得。
結果
管理人との間で境界の確認が完了し、確定測量図を作成。不動産の売却に進むことができた。管理人報酬の決定を経て管理命令は取り消され、手続は無事に終了した。
事案を匿名化して掲載しています。事例の詳細 →
対応事例 02
日野市——所有者不明の空き家を管理人制度で解消(都内初)
概要
東京都日野市が、都内自治体として初めて所有者不明土地管理人制度を活用した事例。長期間放置されていた空き家について、市が地方裁判所に管理命令を申し立てた。
経過
令和5年6月に申立て、同年10月に弁護士が管理人に選任。令和6年3月に新所有者への売却が完了。新所有者が建物を解体・新築し、近隣の住環境が改善された。
ポイント
申立てから売却完了まで約9か月。管理人が裁判所の許可を得て売却を実行し、予納金も返還されている。
こんな案件に
対応しています
対応しています
所有者不明土地管理人選任申立
管理人を相手方として交渉・取引ができるため、所有者不明が原因で止まっていた案件を動かすことが可能になります。申立権者は「利害関係人」で、隣地所有者、共有者、開発事業者、地方公共団体などが該当しえます。
隣地の所有者が不明で境界確定ができない → 管理人を選任し、管理人との間で境界確定を実施
所有者不明の土地を取得したい → 管理人が裁判所の許可を得て売却。購入が可能に
開発区域内に所有者不明の区画がある → 管理人を通じて当該区画の処理を進める
共有者の一部と連絡が取れず処分できない → 不明共有者の持分について管理人を選任
よくある質問
隣地の所有者が不明で境界確定ができない場合はどうすればよいですか
所有者不明土地管理人の選任を裁判所に申し立てることで、管理人を相手方として境界確定の手続を進めることができます。
所有者不明の土地を購入することはできますか
所有者不明土地管理人が裁判所の許可を得て売却することが可能です。管理人を通じた売買により、所有者不明の土地を取得できます。
開発区域内に所有者不明の区画がある場合はどうなりますか
当該区画について所有者不明土地管理人を選任し、管理人を通じて区画の処理を進めることで、開発事業全体を前に進めることが可能です。
所有者不明土地管理人の選任を申し立てるにはどのような要件がありますか
利害関係人が、土地の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てます。合理的な調査を尽くしても所有者を特定できないことの疎明が必要です。
予納金はどのくらいかかりますか
予納金は管理人の報酬等に充てるもので、30万円前後が一つの目安です(事案により異なります)。業務完了後に剰余があれば返還されます。
不在者財産管理人との違いは何ですか
不在者財産管理人(民法25条)は不在者の財産「全般」を管理する制度です。所有者不明土地管理人は特定の土地に限定して管理人を選任でき、手続が効率的で予納金も低額になる傾向があります。
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