所有者不明土地を購入・取得する方法|管理人を通じた売買の流れ

2026-02-21

欲しい土地の所有者が分からない

開発予定地の一角に、所有者が判明しない区画がある。あるいは、取得を検討している土地の登記名義人が既に死亡していて、相続人の所在が追えない。こうした場面では、交渉の相手方がいないために取引が成立しないという問題が生じます。

不動産業者や開発事業者にとって、これは珍しいことではないはずです。特に再開発や区画整理の文脈では、対象エリア内に一筆でも所有者不明の土地があると、事業全体の進行が止まることがあります。

管理人が売却できる

令和5年4月に施行された所有者不明土地管理人の制度(民法264条の2)では、裁判所から選任された管理人が、裁判所の許可を得た上で当該土地を売却することが可能です。

つまり、所有者が不明であっても、制度を利用して管理人を選任し、その管理人から土地を購入するという取引が法的に成り立ちます

具体的な流れは次の通りです。

まず、利害関係人(購入を希望する者も利害関係人に含まれうる)が地方裁判所に管理人の選任を申し立てます。裁判所が管理命令を発令し、弁護士等が管理人に選任されると、管理人は当該土地の管理処分権を取得します。管理人は、裁判所の許可を得た上で、土地を第三者に売却することができます。

売買代金は、真の所有者が現れた場合の引き渡しのために管理人が管理し、または供託されます。

利害関係人とは

申立権者は「利害関係人」ですが、土地の購入を検討している者がこれに該当するかは、事案ごとの判断になります。隣接地の所有者として申し立てるケースは認められやすいですが、単に購入の意欲があるだけでは足りない可能性もあります。

開発事業者の場合は、対象地を含むエリアで事業を計画していることが利害関係の根拠になりえます。いずれにしても、申立てが認められるかどうかは事前に弁護士と検討しておくべきポイントです。

費用と期間

申立て時の予納金は、管理人の報酬等に充てるもので、30万円前後が目安です(事案により異なります)。弁護士費用は別途かかります。

期間は、申立てから管理人の選任まで数か月、その後の売買交渉と裁判所の許可取得にさらに数か月を要するのが一般的です。全体で半年から1年程度を見込んでおくのが現実的でしょう。

事業としての可能性

この制度が施行されるまで、所有者不明の土地は事実上取引不能でした。言い換えれば、取引対象になりえなかった不動産が、この制度によって流通可能になったということです。

所有者不明土地は全国に相当数存在すると言われています。国土交通省の地籍調査(平成28年度)では、不動産登記簿の記載だけでは所有者の所在が確認できない土地が調査対象の約20%に上りました。もっとも、戸籍・住民票等の追跡調査を経れば多くは解消されますが、それでも最終的に所在不明のまま残る土地が一定数存在します。こうした土地が取引可能になることのインパクトは、不動産事業に関わる方であれば想像がつくと思います。

制度としてはまだ新しく、裁判所の運用も蓄積途上にあります。実際に申立てを経験した弁護士と早い段階で相談し、事業計画に組み込んでいくことが実務的な対応になります。

ご相談について

所有者不明土地や不動産に関するご相談を承っています。