制度解説 2026-07-27 3分で読める

住所・氏名変更登記の義務化で所有者不明土地はなくなるか|2026年4月施行

2026年4月に始まった住所・氏名変更登記の義務化を解説。2年以内の申請、過去の住所変更、スマート変更登記と、用地取得で所有者調査がなお必要な理由を整理。

制度解説

不動産の登記簿に記載された住所が古く、手紙を送っても戻ってくる。用地取得や境界確認では、そこから所有者調査が始まることがあります。

2026年4月1日、住所・氏名変更登記が義務化されました。これで、登記上の住所を手掛かりに所有者へ連絡しやすくなる場面は増えるでしょう。ただ、登記簿の住所が古い土地を見つけたとき、「義務化されたのだから、もうすぐ現在住所へ直るはずだ」と待てばよいわけではありません。

変更から2年以内に登記する

不動産の所有権登記名義人は、住所や氏名、法人であれば名称や本店所在地に変更があったとき、変更日から2年以内に変更登記を申請する義務を負います。正当な理由なく怠った場合は、5万円以下の過料の対象になり得ます。

施行日前の変更も対象です。2026年4月1日より前に住所や氏名が変わり、変更登記をしていない場合は、2028年3月31日までに対応する必要があります。

もっとも、期限を過ぎた瞬間に過料が科される仕組みではありません。法務省の案内では、登記官が義務違反を把握した場合も、まず相当の期間を定めて履行を催告し、その期間内に正当な理由なく申請や申出がされなかったときに過料通知を行う運用が示されています。

スマート変更登記が始まった

個人の所有者は、氏名、住所、生年月日などの検索用情報を申し出ておくことで、法務局が住基ネットの情報を確認し、職権で住所等の変更登記を行う「スマート変更登記」を利用できます。変更のたびに本人が申請する負担を減らす仕組みです。

ここで注意したいのは、すべての登記名義人について法務局が直ちに現在住所へ書き換える制度ではないことです。検索用情報が申し出られているか、登記記録と住基ネットの情報を結び付けられるか、所有者の意思確認ができるかといった段階があります。

古い登記を見つけた側から、相手のスマート変更登記を代わりに進めることもできません。

用地取得の所有者調査は残る

住所変更登記の義務化が効くのは、主に登記名義人が存命で、住所や氏名の変更が登記へ反映されていない場面です。ところが、用地取得で止まりやすい土地には、別の問題も重なっています。

登記名義人が既に死亡している。相続登記がされていない。相続が何代も続き、現在の相続人が多数に分かれている。共有者の一部だけ所在を追えない。こうした土地は、住所変更登記だけでは動きません。

登記上の住所へ送った郵便が不達だったとしても、それだけで所有者不明土地管理命令を申し立てられるわけでもありません。住民票、戸籍、戸籍の附票、法人登記、現地の状況などから、所有者を知ることができない、またはその所在を知ることができないことを具体的に示す必要があります。

登記が古い一筆を見つけたとき

開発区域や取得予定地の登記を確認し、古い住所が残っていたら、義務化後の更新を待つのではなく、その土地が事業のどこに必要なのかを先に確認します。接道、排水、造成、境界、進入路に関係する土地なら、面積が小さくても調査の優先順位は高くなります。

次に、登記名義人が個人か法人か、名義人が存命か、相続登記未了の可能性があるかを分けます。所有者へ到達できれば通常の交渉へ戻り、到達できなければ、調査経過と必要な処分を踏まえて所有者不明土地管理人や不在者財産管理人などを検討します。

住所・氏名変更登記の義務化は、将来の所有者不明土地を減らすための制度です。しかし、目の前の一筆について現在の所有者が誰で、どこにいるかを示してくれるとは限りません。義務化されたから登記は最新のはずだ、という前提で工程を組むと足をすくわれます。

制度の期限、過料、スマート変更登記については、法務省「住所等変更登記の義務化について」住所等変更登記の義務化に関するQ&Aで最新情報を確認できます。

この記事は一般的な解説で、個別の事案に対する法的助言ではありません。手続の選択、費用、期間は、対象地の登記、所有者調査の結果、事業の予定によって変わります。

晝間法律事務所所属 / 東京弁護士会

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