所有不動産記録証明制度で何が分かるか|相続登記漏れと用地取得の注意点
2026年2月開始の所有不動産記録証明制度を解説。請求できる人、費用、検索条件、抽出されない不動産と、相続調査・用地取得での使い方を整理。
不在者財産管理人(民法25条)と所有者不明土地管理人(民法264条の2)の使い分け。対象範囲、管轄、申立要件、予納金、必要な処分の違いを整理。
所有者不明土地が絡む案件で「不在者財産管理人」と「所有者不明土地管理人」のどちらを申し立てるべきか、という相談をよく受けます。両制度はいずれも裁判所が管理人を選任する仕組みですが、出発点が違います。誰の所在が分からないのか、現在の所有者まで特定できているのか、必要な管理が対象地だけで終わるのかを先に確認します。
不在者財産管理人は、民法25条に基づき、従来から利用されてきた制度です。住所を去って容易に帰来する見込みのない者(不在者)の財産全般について、家庭裁判所が管理人を選任します。
所有者不明土地管理人は、令和3年改正民法(令和5年4月施行)で新設された制度です。所有者を知ることができない、または所在を知ることができない土地について、地方裁判所が管理人を選任します(民法264条の2)。
| 項目 | 不在者財産管理人 | 所有者不明土地管理人 |
|---|---|---|
| 対象 | 不在者の財産全般 | 特定の土地のみ |
| 管轄 | 家庭裁判所 | 地方裁判所 |
| 根拠 | 民法25条 | 民法264条の2 |
対象地の境界確認や売却だけが必要で、他の財産を管理する必要がないなら、所有者不明土地管理人が目的に合うことがあります。一方、所在不明者の預貯金や他の不動産も保全・管理する必要があるなら、対象地だけに管理を限定することはできません。
どちらの制度でも、予納金は裁判所が事案ごとに決めます。不在者財産管理人では、不在者の財産状況、予定される管理期間、権限外行為許可の有無などが考慮されます。
所有者不明土地管理人では、対象地の状態、売却・草木の処理・建物解体など管理人に予定する業務、管理期間を踏まえて金額が示されます。対象が一筆だから一定額になるわけではなく、制度名だけで費用の高低を決めることもできません。
不在者財産管理人は「不在」が要件です。所在は不明だが「不在者である」ことの主張・疎明が必要になります。
所有者不明土地管理人は、所有者を知ることができない、または所在を知ることができないことが要件です。「不在」概念に縛られず、相続関係が複雑で現在の所有者が特定できないケースなど、より広く活用できます。相続登記未了で名義人が死亡している土地は典型的な対象です。
不在者財産管理人による不動産処分には、家庭裁判所の権限外行為許可(民法28条)が必要です。手続自体は確立されていますが、許可審査の観点が「不在者の利益保護」中心になります。
所有者不明土地管理人も、売却など民法264条の3第2項の範囲を超える処分には地方裁判所の許可が必要です。どちらの制度でも、価格資料、処分の必要性、本人または所有者の利益を踏まえて許可が判断されます。
施行前から不在者財産管理人で進めていた案件であっても、既存の管理を終えずに別制度へ移れるとは限りません。現在の管理状況、残っている処分、本人の他の財産を確認し、手続を継続するか、対象地について別の申立てを検討するかを整理します。
令和5年4月以降、特定の土地だけを管理する制度が選択肢に加わりました。ただし、予納金、期間、処分許可の判断が常に有利になるという意味ではありません。
現在の所有者を特定できるが所在が分からず、その人の財産全体を管理する必要があるのか。現在の所有者自体を特定できず、問題が対象地に限られているのか。ここを区別すると、申立先と必要な調査が見えてきます。
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両制度の条文は、e-Gov法令検索の民法で確認できます。所有者不明土地管理命令の申立書式は東京地方裁判所の案内、不在者財産管理人の書式と運用は申立先の家庭裁判所の案内を確認します。
この記事は一般的な解説で、個別の事案に対する法的助言ではありません。手続の選択、費用、期間は、対象地の登記、所有者調査の結果、事業の予定によって変わります。
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