「所有者不明の土地を買いたい」——購入希望者は申立てできるか
所有者不明土地管理人選任申立てにおける「利害関係人」の範囲。隣接地所有者、公共事業の実施者、購入計画に具体性のある民間購入希望者がどう扱われるか。大阪地裁Q&Aを踏まえて実務上の判断基準を整理。
所有者不明の空き家・長期放置建物がある場合に、所有者不明土地管理人・所有者不明建物管理人を検討する場面。自治体、隣地所有者、購入希望者の視点から整理。
長期間放置された空き家について、登記名義人が死亡している、相続登記がされていない、相続人の所在が分からないという相談があります。建物が老朽化し、近隣に危険が生じている場合や、土地を取得して活用したい場合には、所有者不明のままでは話が進みません。
このような場面では、空家等対策特別措置法だけでなく、民法上の管理人制度を検討することがあります。
所有者不明土地管理人は、特定の土地を対象にする制度です。一方、建物については所有者不明建物管理人の制度があります。土地と建物の所有者が同じとは限りません。登記上、土地と建物で名義が違う場合や、建物が未登記の場合もあります。所有者不明土地管理人の基本を押さえたうえで、建物を別に見る必要があります。
そのため、まず土地と建物を分けて、登記、固定資産関係資料、現地状況を確認します。どの財産について管理人が必要なのかを整理しないと、申立ての対象を誤ることがあります。
自治体が危険な空き家を処理したい場合、行政上の措置と民法上の管理人制度のどちらを使うかを検討する必要があります。土地や建物を管理・処分し、売却まで進める必要がある場合には、管理人制度が選択肢になります。
日野市では、所有者不明土地・建物管理命令を活用し、選任された管理人を通じて売却まで進めた事例が公表されています。自治体にとっても、所有者不明の空き家を動かす手段として参考になる事例です。
隣地の空き家が倒壊しそうで危険な場合や、隣接地と一体で取得したい場合にも、管理人制度を検討することがあります。ただし、申立てには利害関係人性が必要です。危険性、管理の必要性、取得計画の具体性、周辺への影響を資料で説明できるかが重要です。
単に「買いたい」というだけでは足りないことがあります。対象地との位置関係、利用計画、価格資料、これまでの調査経緯を整理しておく必要があります。
相談時には、登記事項証明書、公図、建物図面、固定資産関係資料、現地写真、近隣への影響、自治体とのやり取り、購入計画や活用計画があると検討が進みます。
所有者不明の空き家は、防災・近隣環境・土地活用の問題が重なります。土地と建物の権利関係を分け、どの制度を使うべきかを早めに整理することが重要です。事業者側で取得・活用を検討している場合は、開発予定地・再開発予定地の所有者不明土地対応にもつながる問題です。
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